印鑑証明書に『民事再生法による再生手続開始の決定がある。』との記載があるのですが、何か制限があるのですか?

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質問『印鑑証明書に「民事再生法による再生手続開始の決定がある。」との記載があるのですが、何か制限があるのですか?』

答えは『特に制限はありません』となります。

民事再生法による手続開始の決定があると、印鑑証明書にいく通りかの注意事項のような文言が記載されることがあります。

  1. 「民事再生法による再生手続開始の決定がある。」
  2. 「民事再生法による再生手続開始の決定がある。」及び「民事再生法による監督命令がある。」
  3. 「民事再生法による再生認可の決定がある。」及び「民事再生法による監督命令がある。」

一行目の文言に関しては始めに記載した通り特に制限はありません。

順番に説明していきます。

「民事再生法による再生手続開始の決定がある。」の記載がある場合

民事再生法第38条の規定により、再生債務者はその財産を管理し、若しくは処分する権利を有するため、当該印鑑証明書等により登録手続が可能となります。

「民事再生法による再生手続開始の決定がある。」及び「民事再生法による監督命令がある。」の記載がある場合

まずは堅い説明文を読んで下さい。
民事再生法第五十四条第二項の規定により、監督委員の同意が必要となる。
また、「監督委員」及び「その同意を得なければ再生債務者がすることのできない行為の指定」を確認するため、当該法人の印鑑証明書の他に登記簿謄本を要求することとなる。

これを解説すると、監督委員の同意書と登記簿謄本が必要となるということです。

ただし、上記の必要書類は一般の法人に対してであり、もしこの法人が自動車販売業を営んでいるのであれば代表取締役の権限で自動車の登録手続は可能になります。

※会社名などで自動車販売業であることが判別できない場合は申請者自らが自動車販売業であることを証明する必要があります。
→一番簡単な方法はやはり、法人の登記簿謄本を添付することだと思います。

「民事再生法による再生認可の決定がある。」及び「民事再生法による監督命令がある。」の記載がある場合

民事再生法第百八十六条第二項の規定により、監督委員の同意は不要となり、当該印鑑証明書等により登録手続が可能です。

要するに自動車の登録に関しては何も制限がないですよということです。

根拠条文

最後に根拠となる条文を記載しておきます。

第三十八条
  1. 再生債務者は、再生手続が開始された後も、その業務を遂行し、又はその財産(日本国内にあるかどうかを問わない。第六十六条及び第八十一条第一項において同じ。)を管理し、若しくは処分する権利を有する。
  2. 再生手続が開始された場合には、再生債務者は、債権者に対し、公平かつ誠実に、前項の権利を行使し、再生手続を追行する義務を負う。
  3. 前二項の規定は、第六十四条第一項の規定による処分がされた場合には、適用しない。
第五十四条
  1. 裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員による監督を命ずる処分をすることができる。
  2. 裁判所は、前項の処分(以下「監督命令」という)をする場合には、当該監督命令において、一人又は数人の監督委員を選任し、かつ、その同意を得なければ再生債務者がすることができない行為を指定しなければならない。
  3. 法人は監督委員となることができる。
  4. 第二項に規定する監督委員の同意を得ないでした行為は無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
  5. 裁判所は監督命令を変更し、又は取り消すことができる。
  6. 監督命令及び前項の規定よる決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  7. 前項の即時抗告は執行停止の効力を有しない。
第百八十六条
  1. 再生計画認可の決定が確定したときは、再生債務者等は、速やかに、再生計画を遂行しなければならない。
  2. 前項に規定する場合において、監督委員が選任されているときは、当該監督委員は再生債務者の再生計画の遂行を監督する。
  3. 裁判所は、再生計画の遂行を確実にするため必要があると認めるときは、再生債務者等又は再生のために債務を負担し、若しくは担保を提供する者に対し、次に掲げる者のために、相当な担保を立てるべきことを命ずることができる。
    1. 再生計画の定め又はこの法律の規定によって認められた権利を有する者
    2. 異議等のある再生債権でその確定手続が終了していないものを有する者
    3. 別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分が確定していない再生債権を有する者
  4. 民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。