行政書士の資格について解説している当サイトですが、実際に行政書士がどんな仕事をしているかを紹介します。
私は自動車登録専門の行政書士ですので取扱いしている範囲はせまいですが、それでも十分に仕事量はあります。
自動車の登録というのは車が売買されたときの名義変更の書類作成や、引越しをした方の住所変更の書類作成をします。
また、書類作成だけでなく役所への登録手続きの代行も行います。
そんな自動車登録のなかで今回は車庫証明の申請について紹介しましょう。
自動車登録についての細かい内容は別サイトを参考にしてください。
目次
車庫証明書とは
『自動車の保管場所の確保等に関する法律』により車を所有する際には必ず取得するよう義務付けられた書類です。
青空駐車が社会問題化したことを発端に、車を保有する際には定置場所を確保しておかなければならないという趣旨のもと作られました。
車庫証明書の管轄役所は警察署になります。
村や群などでは一部適用除外になっていてい車庫証明書が不要な地域もあります。
詳細は各管轄の警察署にお問い合わせください。
車庫証明書が不要になるケース
原則的に使用の本拠の位置が法律の適用地域内になる普通自動車と軽自動車は必要になりますが一部のケースでは不要になります。
二輪車においては全て車庫証明書は不要です。
- 村など法律の適用地域外になっている場所を使用の本拠の位置として登録する車両
- 事業用として登録する車両
- 住所が同じ場合の名義変更(親子、夫婦など)
- 所有権解除
車庫証明申請に必要な書類
車庫証明の管轄は各都道府県の警察になります。
ほとんどの場合で必要書類は同じですが、地域によって若干の違いがあります。
申請する前に管轄警察署に電話で問い合わせをするか、ホームページなどで確認しておきましょう。
車庫証明書を申請するのに必要な書類
- 自動車保管場所証明申請書(2通)及び保管場所標章交付申請書(2通)[4枚組1セット]
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所使用権原疎明書面(自認書)又は、保管場所使用承諾証明書のいずれか一通
※駐車場賃貸借契約書(写)で、契約内容によっては保管場所使用承諾証明書の代わりとなる場合があります。
ただし、保管場所の位置、契約期間、貸主、借主(申請者)の記名押印があるものに限ることや、車両限定の有無など、契約内容により申請する車の使用権原が認められない場合もありますので、よくご確認ください。
※使用期間は、申請日が使用期間内であり、かつ申請日から1か月以上の使用権原を有することが確認できる必要があります。
手数料
手数料は各都道府県によって異なりますので、申請する管轄の警察署のホームページなどで確認しましょう。
参考情報になりますが、関東エリアで一般的な金額を紹介しておきます。
手数料
- 自動車保管場所証明書交付申請手数料 2,100円
- 保管場所標章交付手数料 500円
車庫証明書取得の行政書士としての仕事
車庫証明書の申請・取得の仕事を依頼された際の流れを紹介します。
- 必要書類の収集
- 要件の確認
- 現地調査
- 車庫証明申請書の作成
- 管轄警察署へ申請
- 管轄警察へ受取
- 車庫証明書の納品
必要書類の収集
まずは必要書類をお客様に揃えてもらいます。
必要書類の項目で紹介します。
要件の確認
自動車保管場所(車庫)の要件に合致しているか確認します。
- 自動車の使用の本拠の位置(個人の場合は住所地又は居所、法人の場合は事務所の所在地。)から直線距離で2キロメートル以内であること。
- 道路から支障なく出入りでき、かつ、自動車全体を収容できるものであること。
- 保管場所(車庫)を使用する権原を有すること。
以上の要件すべてを満たさなければ、保管場所として認められないので仕事を請け負う際に確認しておく必要があります。
現在、すでに車を所有していて代替などの場合はまず大丈夫だと思いますが、現有の車を購入したときから引越をしている場合がありますので、あらためて確認しておきましょう。
現地調査
必要な書類が揃ったら申請する予定の駐車場へ現地調査に行きます。
道路の幅や駐車場の状況を確認します。
そもそも車が入らなそうな場合や、シャッターが閉まっていて確認できない状況、また明らかに荷物が通路を塞いでいる場合など、警察が調査したときに却下されるという事案があります。
却下されることを事前に防ぐためにも、シャッターがあるなら開けておいてもらったり、荷物があれば片付けておいてもらうなどの必要な措置をお客様にお願いしておきます。
車庫証明申請書の作成
必要な書類が揃い現地調査も終わったら申請書を作成していきます。
警察署のホームページに記載例があったり、警察の窓口に記載例がありますので慣れていない場合は参考にしながら作成しましょう。
気を付けなければいけないのは申請書の記入間違いです。
警察へ申請して審査が終わって交付されても、車体番号や申請者の氏名・住所などに間違いがあれば名義変更や新規登録などの自動車登録ができなくなってしまいます。
管轄警察署へ申請・受取
申請書の作成が終わったら管轄の警察署へ提出します。
警察によりますが申請してから中1日~中4日で交付可能になります。
交付可能になった日からおおむね1か月が有効期間になります。
受取る際には、警察署長の印があるかと、交付日の日付印があるかを必ず確認しましょう。
この2点がないと運輸局で登録ができない可能性があります。
車庫証明書の納品
全て不備がないことが確認できたらお客様へ納品です。
仕事を請け負ってから1週間はかかる仕事です。
漏れがないように慎重に進めましょう。
車庫証明書申請・取得の仕事の現状
車庫証明書の申請と取得はかつては結構な件数が期待できましたが、現在では新車のOSS登録の普及、ディーラーや中古車屋の販売員による申請・取得の増加により落ち込み続けています。
行政書士として独立した際には車庫証明書の仕事だけで事務所の運営をしていくのは難しいでしょう。
ですが、車庫証明書の申請・取得に合わせて新規登録や移転登録までを請け負うことができれば単価の高い仕事として期待できるでしょう。