行政書士は法律系の国家資格です。
毎年11月の第2土曜日に行われる試験に合格すると行政書士になれます。
多くの方は「行政書士=代書屋」というイメージを持っていると思いますが、ただ代書をするだけでなく相続関係や建築業の許可申請など専門的な知識が必要な書類の作成もしている法律の専門家です。
行政書士法(昭和26年法律第4号)には、1997年(平成9年)に目的規定(1条)が追加され、行政書士制度の目的が明確化された。
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(電磁的記録を含む)及び権利義務・事実証明に関する書類に関して、法律に基づき作成、作成・提出を代理または代行し、加えて、当該書類作成に伴う相談に応ずることを業とする。また、特定行政書士の付記がされた者は、これらの他に行政書士が作成した官公署提出書類に関する行政不服申立て手続等の代理、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することを業とすることができる。
目次
取得難易度
法律系の資格の中では入門資格という位置づけとなっています。
ただ、決して易しい試験ではありません。
例年の合格率は7%~12%ぐらいで推移しています。
受験者数は約4万人とかなり多くの方が受験している人気資格です。
行政書士は受験資格の制限がないため受験者数が多いのだと思います。
私の経験上からですが半年間あれば十分に合格できるとは思います。
行政書士試験の概要
行政書士になるには国家試験に合格しなければいけません。
年に一度しか実施されていないので機会を逃さないように計画的に勉強を始めましょう。
行政書士試験を実施している一般社団法人 行政書士試験研究センターが発表している試験の概要をお伝えします。
受験資格
年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます。
試験日及び時間
毎年1回、11月の第2日曜日 午後1時から午後4時まで
試験科目と内容等
「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)
憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します。
「行政書士の業務に関連する一般知識等」(出題数14題)
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
試験の方法
試験は筆記試験によって行います。出題の形式は、「行政書士の業務に関し必要な法令等」は択一式及び記述式、「行政書士の業務に関連する一般知識等」は択一式とします。
試験場所
毎年7月の第2週に公示します。現在のお住まい、住民票記載住所に関係なく、全国の試験場で受験できます
受験手数料
7,000円
一旦払い込まれた受験手数料は、地震や台風等により、試験を実施しなかった場合などを除き、返還しません。
合格発表
1月末に合否が発表されます。
必要となる勉強期間
行政書士試験に合格するにはどれだけの勉強期間が必要になるでしょうか。
学生だったり社会人だったりと条件は異なるでしょうが、理想は通信講座や資格予備校を利用して1年間の勉強期間です。
私の場合は半年の独学で直前に模試などで軽く資格予備校を利用して合格することができましたが、当時は無職で時間はたんまりとあったので効率的とはいえない独学でも合格できたのだと思います。
独学でも行政書士試験に合格することは可能だと思いますが、通信講座などを利用するほうがだんぜん効率的に無駄なく勉強を進められると思います。
行政書士試験の合格後
行政書士試験に合格したからと言ってまだ行政書士ではありません。
合格して行政書士になると決めたのなら各都道府県にある行政書士会を通じて日本行政書士会連合会に登録しなければ行政書士とは名乗れません。
登録するにはいろいろな条件をクリアしたうえで入会金と年会費を支払う必要があります。
本当に行政書士として仕事をするのでない限り行政書士として登録するのは無駄なのでやめておきましょう。
仕事内容
行政書士の仕事はとにかく幅広く行うことができます。
その中で自分の得意分野を磨きつつ、さらに他分野のいろんな業務にチャレンジしていくことが長く生き残るためのコツでもあります。
実際に行える仕事の一部を紹介しておきます。
- 自動車登録関連
- 建設業関連 許可申請等
- 産業廃棄物関連
- 風俗営業関連
- 入管法関連
- 法人設立関連
- 後見関連
- 離婚関連
- 相続・遺言
ぱっとみただけでいろいろな業種と関わりがあるのが分かると思います。
まずはメインの業種を中心に仕事を進めながらとサブの業種のスキルアップを目指すのが王道だといえます。
独立に向いた資格
行政書士は資格を取得したからといってすぐに就職に結びつくような資格ではありません。
企業が採用するときにも特別に評価を受けられるわけでもありません。
行政書士として真価を発揮できるのは自分で行政書士事務所を開業するときです。
行政書士と名乗るまで
行政書士と名乗るには試験に合格しただけではだめで、日本行政書士会連合会に入会して登録してもらわなければいけません。
日本行政書士会連合会に登録するには各都道府県にある行政書士会に入会することで同時に登録されます。
行政書士会に入会・登録して始めて行政書士会という身分証明書とバッジを受け取ることができます。
将来性
行政書士は幅広い業務をこなすことができますので、1業種に縛られることなく他分野で活躍することができるので軌道に乗ってしまえば安定した事務所運営ができるのではないでしょうか。
行政書士の年収
下の表を見て頂くと分かると思いますが正直なところ大成功している行政書士は一部しかいません。
売上高で年間500万未満となると行政書士の収入だけでは生活していくのがやっとというところでしょうか。
ただ、1億円以上の売上高の方もいるのでやり方次第でどうにでもなれます。
- 500万円未満 ⇚78.7%
- 1000万円未満 ⇚11.3%
- 2000万円未満 ⇚5.3%
- 5000万円未満 ⇚0.5%
- 1億円未満 ⇚0.8%
行政書士の人数
日本行政書士会連合会が毎月の会報で発表しています。
合計 47,978名 ⇒ 男 41,235名 女 6,743名
- 個人事務所開業 男 39,729名 女 6,304名
- 行政書士法人社員 男 1,040名 女 211名
- 使用人行政書士 男 466名 女 228名
法人事務所数 816
・主たる事務所数 499
・従たる事務所数 317
まとめ
行政書士という資格は独立開業に向いていて扱える仕事の種類が豊富な将来性のある資格です。
もちろん事務所を開業した方の全員が成功するとは言えませんが、十分な収入を得られる可能性のある資格だと思います。