趣味のために行政書士資格を目指す方はこの記事のことは気にしないでください。
資格を取って人生を少しでも変えたいと思っている方は、行政書士の資格を生かそうと考えているでしょう。
行政書士といえば独立開業というイメージですし、実際に一番活かせるのも同じでしょう。
ただ、行政書士の資格を取得したからすぐに独立開業というのは少々無謀です。
私は入念な下調べと十分な修行を重ねてからの独立開業をおすすめします。
目次
合格後に下調べを入念にすべき理由
- 行政書士として行政書士会に登録するだけで入会金と年会費が必要になる
- 行政書士試験の内容が実務とほとんど結びついていない
- 合格後の研修が充実しているとは言い難い
- 立地を選ぶだけでお客さんが来てくれるポイントがある
- 仕事さえ覚えれば独立開業は可能
行政書士資格を取得しただけでは何も始まりません
行政書士の試験に合格して行政書士を名乗る資格を得たところで、まだこの段階では行政書士ではありません。
日本行政書士会連合会の行政書士名簿に記載されて初めて行政書士となるのです。
実際の登録窓口は各都道府県にある『〇〇県行政書士会』経由で行政書士名簿に記載してもらう手続きをします。
この登録手続きだけで、入会金や手数料さらに年会費が必要となってくるので仕事もない状態でただ登録するというのはもったいないですよね。
修行をして仕事ができる目途がたってから正式に登録してもぜんぜん遅くありませんよ。
実務に関係する試験ではない
他士業の資格試験は合格することによってある程度の実務をこなせる内容になっていると思います。
それが行政書士試験は違います。
誤解を恐れずに言うならば役に立つのは民法と商法の試験ぐらいです。
それ以外はほぼ実務では使わないと思ってください。
- 憲法
- 民法
- 行政法 (行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法など)
- 商法 (会社法)
- 相続・遺言・・・・・民法など
- 建設業許可申請・・・建設業法など
- 自動車登録関係・・・道路交通法など
- 風俗営業許可申請・・風営法など
- 法人設立・・・・・・会社法など
行政書士が行っている主な業務に関係する法律と試験に出る法律がほとんどかぶっていません。
もちろん、法律の基礎として民法や商法は大事ですが、実務的な法律が試験にないので合格後に業務に関係する法律と手続きを定めた法律を勉強する必要があります。
どの業務内容をメインの仕事にするのかによって学ぶべき法律が大きく分かれます。
資格取得後に仕事を得る見込みがあるのか
独立開業を目ざしている方にとって一番大事なのが集客です。
行政書士は事務所を開設したからといってお客さんが来てくれるわけではありません。
WebサイトやDMで集客するのか人脈を活かして営業をかけるのか、飛び込みで営業をかけるのかなど手段はいろいろありますが、何よりも大事な部分です。
いかに仕事を早く覚えて誰よりも正確に早く仕事ができるようになっても、お客さんが来てくれなければ全く意味がありません。
まずは、集客方法を考えて独立していける見込みがあるのかを熟考しておきましょう。
立地だけで集客できてしまう場合もあります
業務内容によっては好立地を確保するだけで集客ができてしまう場合もあります。
業務に関連する役所の門前か、その周辺です。
特に私が専門にしている自動車登録関係の行政書士は陸運局の門前に事務所を構えられたら何十年と維持できるほど立地が重要です。
ただ、今から新しい陸運局や新しい役所が増えない限り、黙ってても儲かる場所には先輩行政書士が事務所を構えているでしょう。
奇跡的に空き家や空き部屋があるならば飛びついてもよいかもしれません。
今の仕事と比べてやり甲斐を感じられるのか
行政書士の仕事だけでの話ではないですが、仕事を変える場合はやはり、やり甲斐は重要な要素です。
せっかく仕事を始めて起動に乗ってきてもやり甲斐を感じないならば、毎日が苦痛にかわってしまうかもしれません。
開業してしまった以上は無責任に辞めるのもお客さまに迷惑になります。
せっかく信用してくれていた方々を裏切ることのないように事前の下調べで業務内容をしっかりと理解しておきましょう。
実務を習得するすべはあるのか
行政書士会にも研修会はあります。
ただ、けっして充実しているとは言い難いですし、それだけで実務が不安なくこなせるようになるわけでもありません。
いきなり開業してみてもお客様に迷惑をかけることになりかねません。
私はすでに開業している行政書士事務所にバイトでも何でも良いので働かせてもらって実務経験を十分に積むことが必要だと思います。
働いていれば業界で仲間もできるでしょうし、自分でできそうな種類の業務が見つかるでしょう。
事務所を開けばプロです。
お客様はプロとしての期待をもって仕事を依頼してきますので、そこで素人のようなミスをしてしまえば信頼を失いかねません。
十分な経験を積んでから独立を検討しても遅くはないと思いますよ。
希望する業界に求人があるのか
実務経験を積むにも働き口がないと始まりません。
先にやりたい業務内容を決めるのではなく求人のある業界を選びましょう。
役所への手続きはある程度は似たりよったりです。
必要な書類を集めて法律に則って申請書を作成し、管轄の役所へ提出するという原則は変わらないでしょう。
流れさえつかめれば他業種でも応用できるはずです。
まずは行政書士の仕事を学びましょう。
まとめ
行政書士試験に合格したからといって慌てて登録をするのはやめましょう。
開業するだけで50万円から100万円の資金が必要になります。
集客のすべも見込みもないまま開業してもすぐに行き詰まるでしょう。
運よく集客できたとしても、プロとしての仕事ができないと信頼とともにお客さまを失う結果になるでしょう。
まずは修行、次に集客を学んでから独立開業を目指しましょう。