輸出抹消とは
自動車を海外へ輸出するためには輸出抹消という登録をしていないと通関手続きができません。正式には『輸出抹消仮登録』です。
この記事では変更登録と同時に輸出抹消をする手続き方法と必要書類を解説します。
基本的には変更抹消と同じ必要書類ですが、3号の2様式の申請書に輸出予定日を記入するという部分だけが異なります。
輸出をするには通関手続きを行う通関業者へ車を持ち込むことになりますが、車を持ち込む人と輸出抹消仮登録証明書の名義人が同じでなければいけません。
たとえば、Aさん名義で輸出抹消してある車をBさんが輸出の手続きを行うということはできません。Aさんが輸出の手続きをするか、輸出抹消するさいにBさんの名義にして同時に輸出抹消というようにしなければいけません。
輸出抹消のメリットとしてリサイクル料金が返金されます。
リサイクル料金が返金されますが、輸出抹消の登録をするときに記入する輸出予定日が過ぎてからになるので忘れたころに戻ってくる感じになるでしょう。
詳しくはこちらへ→自動車リサイクルシステム
もし、輸出を取り止めてやっぱり日本で登録して乗りたい、または販売したいということになったら、輸出抹消仮登録証明書を返納して登録識別情報等通知書(一時抹消証明書)を発行してもらわなければいけません。
手続の方法は輸出抹消仮登録証明書を一時抹消登録証明書に戻す方法で解説してますので参考にしてください。
変更抹消とは
変更抹消にはたくさんのパターンがあります。一番簡単な説明をすると「車検証に記載されている内容を変更すると同時に抹消する」ということです。
具体例をあげて解説します。
①抹消しようとした時点で、自動車検査証に記載されている名前(名称)や住所と印鑑証明書の名前・住所が異なっている場合に印鑑証明書の名前・住所に変更して抹消するパターン。
②車検証の所有者の名前・住所以外に使用の本拠地の欄に記載がある場合にそれを削除して抹消するパターン。
③車検証に所有者と使用者が登録されている場合で使用者を外して所有者だけにして抹消するパターン。
※何も変える必要がない場合は一時抹消登録や輸出抹消を参照してください。
※所有者を変えると同時に輸出抹消したい方は移転と同時に輸出抹消を参照してください。
変更登録と同時に輸出抹消の必要書類
- 車検証
- ナンバープレート
- 所有者の印鑑証明書
- 所有者の委任状or実印
- 変更の原因を証する書面
- 手数料納付書
- 申請書 変更登録用(OCRシート1号様式)
- 申請書 輸出抹消用(OCRシート3の2号様式)
- 700円の登録印紙(変更350円、輸出抹消350円)
- 自動車税・自動車取得税申告書
必要書類の解説
書類ごとに解説します。
車検証
輸出抹消したい車の車検証を提出します。車検証を返納して輸出抹消仮登録証明書という輸出抹消の証明書を受け取ります。
ナンバープレート
輸出抹消する車の前後のナンバープレートが必要です。数字や文字が欠けていたり識別できない状態では受け付けてもらえません。
万が一、ナンバープレートを紛失や盗難で返納できない場合は警察署に届け出をして、「届出警察署」「届出日」「受理番号」「返納できない理由」を記載した理由書が必要になります。
ナンバープレートを返納しないで記念として持ち帰ることができるようになりました。もちろん希望する方だけですが、不正使用防止の処理を施された後に記念として持ち帰ることができるようです。
詳しくはこちらをご覧ください→ナンバープレートの記念所蔵ができるようになりました!
所有車の印鑑証明書
発行されてから3ヶ月以内の原本が必要です。
所有者の委任状or実印
所有者本人が申請に行く場合は申請書(OCRシート)に実印を押印します。代理人が登録に行く場合は実印の押された委任状が必要です。
変更の原因を証する書面
住所が変わっている場合に必要になる書類
個人の場合
- 【原因を証する書面】が『住民票』になります。
- 原因証書として使用するので3ヶ月をすぎていても問題ありません
- 車検証の住所から現住所までを住民票でつながりを証明する必要があります。住民票だけでつながりを証明できない場合は『住民票の除票』や『戸籍の附票(こせきのふひょう)』を取得しなければいけません。
※どうしてもつながらない場合は車検証の住所と印鑑証明書の住所のつなげかたを参照してください。
法人の場合
- 【原因を証する書面】が『商業登記簿謄本』または『登記事項証明書』になります。
- 車検証の住所から現住所までのつながりを証明する必要があります。『商業登記簿謄本』または『登記事項証明書』だけではつながりが証明できない場合は『閉鎖登記簿謄本』または『閉鎖事項証明書』を取得して必ずつながりを証明しなければいけません。
- 【原因を証する書面】が『戸籍謄本』または『全部事項証明書』になります。名前が変わった原因が記載されているものを用意しましょう。
- (例)養子縁組,結婚,離婚などが記載されているもの
- 原因証書として使用するので3ヶ月をすぎていても問題ありません
- 【原因を証する書面】が『商業登記簿謄本』または『登記事項証明書』になります。
- 名称が変更されたことが記載されているものを用意します。
- 原因証書として使用するので3ヶ月をすぎていても問題ありません
名前(名称)が変わっている場合に必要になる書類
個人の場合
法人の場合
使用者を外す、あるいは使用の本拠地を外す場合
特に原因を証明する書類は必要ありません。申請書(1号様式)を作成するときに使用者を外したり、使用の本拠地を外すように指示します。
手数料納付書
登録印紙を貼付する用紙です。提出書類の表紙にもなります。運輸支局で入手できます。
申請書(OCRシート1号様式、3の2号様式)
変更登録で1号様式を使用し、輸出抹消登録で3の2号様式を使用します。必要事項を記入して提出します。運輸支局で入手できます。
変更抹消登録と必要書類は全て同じで作成方法が少しだけ違います。
輸出抹消は3号の2様式に輸出予定日を記入する必要があります。
「いつまでに輸出しますよ」という申告で最長で6か月先まで指定できます。
万が一輸出予定日を過ぎてしまっても、再申請ができますので安心してください。
OCRシートが無料になりました。また、以前のように専用の用紙ではなく汎用紙(コピー用紙)になり国土交通省のサイトからダウンロードすることもできるようになりました。
OCRシートは印刷は国土交通省の規定通りに印刷する必要があるのでご注意ください。
700円の登録印紙
変更登録で350円、輸出抹消登録で350円の登録印紙が必要になります。運輸支局で購入します。
ただし、住所の変更の原因が住居表示の実施や、新しく区ができた場合などは変更用の350円は不要になります。
印紙を購入するときに確認してみましょう。
自動車税・自動車取得税申告書
都道府県税事務所に輸出抹消登録したことを申告します。
年度の途中ですと、残存月数に応じて自動車税の還付があります。
申告書に口座番号などをを記入する欄があるので振込で受け取りたい場合は記入しておくと良いでしょう。
※都道府県により扱いが違う可能性がありますので詳しくは各都道府県税事務所に問い合わせてください。
申請手続きの流れ
印鑑証明書、委任状、住民票などの必要書類を揃えます。
↓
運輸支局へ行き申請書と登録印紙を購入して必要事項を記入します。(記入例は運輸支局に用意されてます。)
※自動車税・自動車取得税申告書も先に記入しておきます。
↓
書類の作成が終わったらナンバープレートをナンバー屋さん返納します。
※ナンバープレートを持ち帰る方はこの時点で伝えておきます。
↓
運輸支局の登録窓口へ必要書類を提出します。
↓
交付窓口から『輸出抹消仮登録証明書』という輸出抹消の証明書を受け取ります。
↓
都道府県税事務所へ行き自動車税・自動車取得税申告書と輸出抹消仮登録証明書を提出します。
↓
手元に『輸出抹消仮登録証明書』と『自動車税・自動車取得税申告書の控え』があれば無事に終了です。