名義変更の手続き方法
名義変更は正式には移転登録という法律用語になります。すでにナンバープレートが付いている車の所有者を変える手続きになります。
この記事では名義変更に記載を統一します。
名義変更は新所有者の住所地(使用の本拠の位置が別にある場合は使用の本拠の位置)を管轄する運輸局で登録手続きをします。
旧所有者と新所有者の住所地が運輸支局の管轄をまたぐ場合には車を持ち込んでナンバープレートの変更も必要になります。
旧所有者と新所有者の住所地が同じ管轄内の場合にはナンバープレートの変更は必要ありません。書類だけで名義変更の手続きが終わります。
名義変更の必要書類
- 車検証
- 譲渡証明書(旧所有者の実印が押されているもの)
- 印鑑証明書(新所有者・旧所有者)
- 実印
- 委任状(実印が押されているもの)
- 車庫証明書(新所有者)
- 手数料納付書
- 申請書(OCRシート第1号様式)
- 希望番号予約済証(希望番号にしたい方)
- 500円の登録印紙
- 自動車税・自動車取得税申告書
- その他
- 自動車税納税証明書
- 自賠責保険証明書
- 自動車リサイクル券
名義変更の書類の解説
ここからは箇条書きにした必要書類の詳細を解説していきます。
注意点なども記載してきますので必要に応じて各項目を参考にしてください。
車検証
移転登録(名義変更)する時に車検の有効期間が残っているもの。車検が切れていると移転登録できません。
また、車検証を紛失してしまって過去に再交付したことがある場合は、一番新しい車検証でないと移転登録の手続きができないので注意してください。
譲渡証明書
旧所有者の実印が押されているもの。書式が決まっているので正しいものを使いましょう。
間違えてしまうと訂正するのに旧所有者の訂正印が必要になりますので注意深く記入しましょう。
我々プロの行政書士でも新所有者を記入するときは細心の注意を払って作成します。
印鑑証明書
旧所有者・新所有者双方のものが必要です。発行されてから3ヶ月以内が有効期限になります。
旧所有者に関しては車検証上の名前・住所と一致している必要があります。
もし一致していない場合は同一人物であることを証明するために戸籍謄本や住民票などを集める必要があります。
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実印
本人が手続きを行う場合は申請書(OCRシート第1号様式)に実印を押印する必要があります。代理人が手続きを行う場合は委任状に押印します。
委任状
新所有者・旧所有者が一緒に手続きを行う場合は必要ありませんが、代理人に依頼する場合は手続きに行かない方の委任状が必要になります。新・旧どちらも行かないのであれば双方の委任状が必要になります。必ず実印で押印しましょう。
委任状の記入を間違えてしまった場合の訂正例を作成しましたので参考にしてください。
もっとも、この訂正をするぐらいなら新しい委任状を用意して書き直すのもあまりかわりはありません。
手元に委任状が一枚しかいない場合などに活用してください。
車庫証明書(自動車保管場所証明書)
車庫証明書は新所有者が取得して提出する必要があります。発行日から1ヶ月以内が有効期限になります。管轄が警察署になり、申請してから少なくとも中1日はかかりますので事前に用意しておきましょう。
車庫証明書が必要とならないパターンもあります。
詳しくはこちら⇒車庫証明書の取得を省略できるパターン
また、村はそもそも車庫証明書は不要です。
手数料納付書
必要書類をまとめて表紙となるものです。登録印紙を貼ります。これは運輸支局で手に入りますので事前に用意する必要はありません。
申請書(OCRシート第1号様式)
新所有者の名前や住所を記入する用紙です。希望番号があればそれも記入します。これも運輸支局で入手するものなので事前に用意する必要はありません。記入方法の例や見本は運輸支局に用意されているので安心してください。
2017年現在では申請書は無料で配布されるようになりました。
また、国土交通省のWebサイトからダウンロードして印刷したものを使用することもできます。
国土交通省OCR申請書各種
印刷して使用できますが、制限もあります。
かいつまんで説明しますと、「プリンターはレーザープリンターを使用してください」というのと「用紙はA4サイズで白色のもの」というのが主なものですが、家庭用のインクジェットプリンターではこの条件を満たしていないのでご注意ください。
希望番号予約済証
自分の好きな番号を選びたい方は事前に申し込みをしておく必要があります。出来上がるのに申請してから中2日かかりますので前もって申請しておきましょう。申し込みはネットでできます。
ネットで申請した場合は入金確認後に確定番号と受付番号が記載されているメールが来ますのでそれをメモして持って行きましょう。
2017年11月追記
ナンバープレートの種類で『図柄ナンバー』というのが増えました。
上記画像のようなナンバープレートをつけることができるようになりました。
現段階では通称「ラグビーナンバー」と「オリンピック・パラリンピックナンバー」を選ぶことができます。
詳しくは自動車の図柄ナンバー(ラグビーナンバー)の申し込みが始まりました!
オリンピックナンバーはどうやったらつけられますか?
などを参考にしてください。
500円の登録印紙
移転登録(名義変更)には500円の手数料がかかり登録印紙で支払います。運輸支局の用紙を販売しているところで一緒に購入できます。
自動車税・自動車取得税申告書
移転登録(名義変更)をすると自動車税の納税義務者も変わりますので運輸支局内にあります都道府県税事務所にも申告をする必要があります。
その他
- 旧所有者の方が車検証の住所から引っ越している場合は印鑑証明書の住所までのつながりがわかる住民票や戸籍の附票が必要になります。
- 旧所有者の方が結婚などで名前が変わっている場合は戸籍謄本をとって名前が変わった理由とともに同一人物であることを証明しなければいけません。
- 新所有者になる方が未成年の場合は、親権者の同意書・印鑑証明書・戸籍謄本が必要になります。
自動車税納税証明書
自動車税の滞納がないことを証明してくれる証明書です。車検をとる際に必要になりますので旧所有者の方から新所有者の方へ渡してあげましょう。
また、新所有者になる方が滞納があることを知らないまま車を譲り受けてしまうとトラブルの原因になりますので必ず用意してもらいましょう。
現在では車検を取る際に納税証明書は必須ではなくなり、オンラインで納税確認がされるようになっています。
ただし、自動車税を納めたばかりだとすぐにはオンラインで反映されないので、自動車税を支払ってすぐに車検を受けるときは紙の『納税証明書』を用意して車検場へ行きましょう。
自賠責保険証明書
車を乗るには必ず入っておかなければいけない保険です。移転登録をする際には車と一緒に渡すようにしましょう。
自動車リサイクル券
車を最終的な処分をするときに必要になりますのでなくさないようにしましょう。
名義変更の費用
移転登録する際に発生する費用は車の年式や登録手続きをどこまで自分でやるかで大きく異なってきます。
必ず発生するものと場合によって発生するものがあります。
名義変更する際に想定される費用
- 登録印紙 500円 ⇚必須
- ナンバープレート代 ⇚必須 ※ナンバーが変わらない場合は不要
- 自動車取得税 ⇚初度登録年月が新しければ必要
- 書庫証明書印紙 ⇚地域によりますが、だいたい2600円前後 車庫証明が不要な場合もあります。車庫不要のパターン
ナンバープレート代は特に希望がなければ1500円前後で購入できますが、希望番号にすると4000円から5000円になり、さらにオリンピックナンバーやラグビーナンバーにするには8000円前後はかかるでしょう。
上記以外にも『自賠責保険』と『自動車税』という費用があります。
この二点に関しては難しいところがあって、保険屋さんや都道県税事務所では月割りで支払うということができませんし、請求もされません。
ディーラーや中古車店で購入すれば販売店が計算して残月数に応じた金額を見積書や注文書に算入しているので特に問題になることはありませんが、個人間の売買だとトラブルのもととなる場合があります。
残月数に応じた費用をどちらが負担するのかということを明確にしてから移転登録(名義変更)の手続きをしないと、あとから譲渡した側が負担を求めてきたり最悪の場合は車の返却を求めてきたりすることもあるようです。
このようなトラブルにならないように、『自賠責保険』と『自動車税』はどっちが負担するのか、この2点が含まれた譲渡価格なのかをはっきりとしてから売買手続きや名義変更手続きを行うようにしましょう。
名義変更に必要な書類の取得方法
名義変更するさいに用意する書類をどこで取得すれば良いかを一覧で説明します。
- 車検証・・・車に常備しているはずです。なければ車検証再交付の手続きが必要になります。
- 譲渡証明書・・・印刷用譲渡証明書を使用してください。
- 印鑑証明書・・・個人であれば市区町村役場、法人の場合は法務局および法務局の出張所です。
- 実印・・・印鑑登録してある印鑑を用意してください。
- 委任状・・・印刷用委任状をプリントアウトしてください。
- 車庫証明書・・・新所有者の使用の本拠地を管轄する警察署に申請して発行してもらいます。
- 手数料納付書・・・印刷用手数料納付書をプリントアウトして使用してください。各運輸局で無料で配布しています。
- 申請書・・・運輸局の窓口で無料で配布しています。印刷する場合は国土交通省OCRダウンロードページから印刷してください。要件が決まっていますので注意してください。
- 希望番号予約済証・・・希望番号申込サービスで事前に申込をしておいて、名義変更の当日に希望番号の窓口でプリントアウトしてもらいます。
- 500円の登録印紙・・・運輸局の窓口で購入します。
- 自動車税・自動車取得税申告書・・・各都道府県税事務所で配布しています。無料です。
必要書類の中で事前に用意しておく必要があるもの
- 車庫証明書・・・申請してから発行されるまで中1日から中3日程度が必要です。
- 希望番号予約済証・・・申し込みをしてから中2日経過しないとナンバーができあがらないため。オリンピックナンバーなどの図柄ナンバーだと10営業日かかるのでさらに時間が必要です。
上記以外は当日でも何とかなりますが、譲渡証明書や委任状は記入が必要なので事前に用意しておくと手続きがスムーズに終わります。
車庫証明書の取得方法
車庫証明書は必要書類を揃えて警察署へ申請して審査が終わると発行されます。
警察署へは車庫証明書の申請に必要となる書類を提出します。
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図(付近の道路、目標を表示)
- 配置図(周囲の建物等を表示、保管場所の寸法等を表記)
- 使用に関する権利関係を証する書面
※使用に関する権利関係を証する書面とは↓
- 土地又は建物が自己所有の場合…保管場所使用権原疎明書面(自認書)
- 土地又は建物が他人所有の場合…保管場所使用承諾書、駐車場賃貸契約書、公法人の確認証明書等
※駐車場を借りている場合は不動産屋で使用承諾書を発行してもらうか、駐車場賃貸契約書を事前に用意してもらいましょう。
各警察署のホームページで書式が配布されていてダウンロードできるようになっていますので活用してください。
車庫証明書の記載例も用意したので参考にしてください。
ナンバープレートの地名表示の決まり方
陸運局の管轄(ナンバープレートの地名表示)は「使用の本拠の位置」で決まります。
通常であれば新所有者の住所と「使用の本拠の位置」は同じなので特に気にしなくても大丈夫ですが、使用者をつけるときは使用者の住所が「使用の本拠の位置」となります。
また、所有者や使用者の住所とは別に「使用の本拠の位置」を定めることもできます。
例えば、法人の支店や個人であれば別荘のあるところで車庫証明書を取得すれば、その場所が「使用の本拠の位置」になりますので管轄は支店や別荘のある住所地を管轄する陸運局となりナンバープレートの表示も支店や別荘のある場所になります。
自分の好きな地名のナンバーをつけられますか?を見てください。
運輸支局の業務受付時間と休業日
運輸局の受付時間は最終は午後の4時となっていて通常の役所より早く終わってしまいます。
もちろん全国で同じです。
当事務所でもよく電話で質問されますが、4時30分とか5時と勘違いしている方が多く、登録手続きに行こうとしたら閉まっていたということを良く耳にします。
午前:08:45 ~ 11:45
午後:13:00 ~ 16:00
土曜日・日曜日・祝日
12月29日から1月3日
名義変更手続きの全体の流れ
取得するのに日数のかかるものがあるので段取りよく手配していきましょう。
- 車庫証明書…中1日~中3日程度
- 希望ナンバー…中2日
- 旧所有者の譲渡書類一式
- 旧所有者の書類を手配
- 車庫証明書の申請
- 希望ナンバーの予約 (希望ナンバーにする場合)
- 新所有者の書類の手配
- 車庫証明書の受領
- 運輸支局へ行き書類を作成
- 名義変更の登録手続き
名義変更手続きの運輸支局での流れ
必要な書類は全て集まっていることを前提として進めます。
- 運輸支局で入手する書類を受け取ります。
- 同時に登録印紙500円も購入します。
- 登録窓口の近くの書類作成見本をみながら書類を作成します。
- 運輸支局によって順番が異なりますが、運輸支局・都道県税事務所・ナンバー屋(ナンバーが変わる場合)をまわります。
- 最終的に名義変更の終わった『車検証』・『税申告書の控え』が手元に残れば書類はOKです。
- ナンバーが変わる場合はナンバープレートを購入してから係員に封印をしてもらって終了になります。