車検証上の所有者が法人の自動車を移転登録や移転抹消するときは法人が合併していたり分割していたりすることにも注意が必要です。
法人の名称や住所が変わったことは比較的簡単に気づきますし、所有者がディーラーだったりすると何も伝えなくても必要な履歴事項証明書や閉鎖事項証明書を添付してきてくれます。
ただ、履歴事項証明書がついている場合は最後の方のページまで見ておかないと合併していることや分割していることを見逃してしまいがちです。
先に結論を申し上げると合併という記載があったら移転登録が一回分増えます。
分割の場合はどの法人から書類がでているかで移転登録が必要がどうか決まります。
ちなみ、合併や分割に伴う移転登録の場合は新しいクルマであっても取得税の対象にはなりません。
では、詳しく解説していきます。
目次
合併という記載があった場合
履歴事項証明書や現在事項証明書に合併という記載があったら直接には第三者へ移転登録できません。
合併とは2つ以上の法人が合併して1つの法人になることですが、これには吸収したほうの法人と吸収されたほうの法人があります。
登録するときは吸収したほうの法人の名義に移転登録する必要があります。
例えば「株式会社バイク」という法人を「株式会社クルマ」が吸収合併したとしますと、車検証上の法人は「株式会社バイク」ですのでこれを一旦「株式会社クルマ」という法人の名義にしなければいけません。
「株式会社クルマ」の名義になったら、そのまま抹消することもできますし、第三者へ移転登録もできるようになります。
なほ合併の登録と合併後の登録は同時申請できます。
必要書類
必要書類といっても印鑑証明書・譲渡証明書・委任状に加えて履歴事項証明書が増えるぐらいです。
印鑑証明書・譲渡証明書・委任状に関しては合併後の新法人のものが必要になります。
吸収されて存在がなくなってしまった法人からは書類が何も発行できないのでこのように新しい法人からの書類が必要になります。
分割という記載があった場合
分割の場合は合併と違って書類がどちらの法人から書類がきているかで異なってきます。
分割というのは1つの法人が2つないし2つ以上の法人になることです。
分割は車検証上の法人がなくなったわけではないので必ずしも新しい法人の名義を経由する必要はありません。
経由する必要はありませんが、もし、譲渡書類関係が分割してできた新しい法人から出てきている場合はその通りに登録しなければいけません。
書類が分割前の法人から出ている場合
譲渡書類関係が車検証上の法人から出ている場合は通常の移転登録と変わりません。
車検証上の法人から、印鑑証明書・譲渡証明書・委任状を発行してもらいましょう。
書類が分割でできた新しい法人から出ている場合
新しい法人から譲渡書類関係が出ている場合は所有権の流れをきちんと登録しなければいけません。
この場合はまず車検証上の法人の名義から分割してできた新しい法人の名義に移転登録します。
分割後の法人の名義にしたらそのまま抹消したり第三者へ移転登録したりできるようになります。
必要書類
新しい法人も経由して登録する場合の必要書類
- 車検証
- 印鑑証明書①…車検証上の法人のもの
- 譲渡証明書①…同上
- 委任状①…同上
- 印鑑証明書②…分割でできた新しい法人のもの
- 譲渡証明書②…同上
- 委任状②…同上
抹消する場合はナンバープレートが増えます。
また、第三者へ移転登録する場合は新所有者になる方の印鑑証明書・委任状・譲渡証明書を用意してください。
分割の場合と合併の場合の書類の相違
合併の場合は吸収されたほうの法人はなくなってしまうので書類は必要ありませんでしたが、分割の場合は法人が増えたのと同じなので分割前の法人から発行してもらうことが必要になります。
分割で新しくできた法人を経由する場合は印鑑証明書・譲渡証明書・委任状が各法人から必要になります。